ゴキブリは人間に敵意を持っているわけではないが、黒くて光る、あの姿には恐怖を感じる人は多いだろう。とても敏捷なとこ ろも気味が悪い理由だろう。 しかし、ゴキブリはどうしてそんなに速く走れるのだろうか。

 

その秘密は足の使い方にある。ゴキブリの足は六本あるが、一度に動かすのは 三本だけである。

 

体の片側の一本目と三本目、反対側の二本目は動かさず、体を支える三脚として使い、支える必要のない残りの 三本を前方に出す。 前に出した三本の足で新しい三脚を作り、 今度は止めていた足を前方に移動させるという方法だ。

 

これは多くの動物には不可能な技である。このようにゴキブリは素晴らしいフットワークを持ち、追跡者をかわすのである。

 

カリフォルニア大学バークレー校の研究者らが、ある種類のゴキブリの走る速さを秒速 一・五メートルと測定した。 これは、およそ時速五五キロに相当する。これをゴキブリの大きさに換算すると、人間が走る速度の一〇倍に相当し、馬の八倍以上に相当するというから驚きである。

 

人間との関わりも古く、紀元前三〇〇年のアリストテレスの時代にはすでに記録がある。

 

しかし、日本でその記録があるのは江戸時代中期以降、外国との交流が活発になってからである。名前の由来は「御器(食器) 覆り」から来たものと言われている。

 

戦後の 混乱や、家屋が断熱性になったこと、国外と の物流が活発になったことで種類を増やし、 今日では三五〇〇種以上が確認されている。