高温多湿の日本の夏は、毎日大汗をかいて 暮らすことになる。建物内部はエアコンで快 適さが保たれているが、いったん外に出ると、「滝のような汗」という表現があてはまる。
この汗が、衣類が
「フェロモン」とは、メスの蛾がオスに性的なサインを送るときに分泌する物質「性フェロモン」をファーブルが『昆虫記』で紹介したことで広まった言葉である。
その他にも、ゴキブリが集団を形成する「集合フェロモン」や、アリが道案内をする「道しるべフェロモン」などが知られている。
これらの例から、人間にも生殖行動や異性へのアピールに関係する物質が存在するのではないかという仮説が立てられ、研究が進められている。
しかし、現在までに、異性を強く惹きつけて恋愛を成就させるような物質は発見されていない。
フェロモンは化学物質であるが、「匂い」と同じように嗅覚で感じるのではなく、鼻の中にある鋤鼻器官(ヤコブソン器官)という特殊な感覚器官で検知される。
人間の場合、成人になると鋤鼻器官は機能しなくなると考えられていたため、フェロモンの存在に疑いの目を向けていた。
しかし、最近の研究で、人間の成人でも鼻の隔膜の付け根付近に鋤鼻器官が残っており、そこにある感覚細胞が活動していることが明らかになった。
ユタ大学の研究チームは、フェロモンと思われる物質の中に、男性と女性で反応が異なるものがあることを報告している。
この物質を嗅ぐと、被験者たちは気分が良くなったり、リラックスしたりしたという。
スウェーデンのカロリンスカ研究所では、男性ホルモンや女性ホルモンから生成される物質を男女に嗅がせてみたところ、脳の本能的な部分である視床下部に反応が現れたという。