一日の長さは生物の体内時計にとって二四時間ではない?

 

生物は一日の中でさまざまな活動を行っており、これを日周性という。例えば、動物では昼間に活動する昼行性や、その逆の夜行性がそれである。この日周性は約二四時間の周期を持つので概日リズムとも呼ばれる。

 

植物の日周性としては、花や葉の昼夜の開閉運動が有名である。

 

これらは、生物が生まれつき持っている体内(生物)時計によって引き起こされるものである。

 

体内時計が作り出す概日リズムは、単細胞生物以上のほとんどの生物に見られる。

 

人間のような高等動物の体内時計は、脳で制御されており、環境の季節変化に対応するのに重要な役割を果たしている。

 

人間の体内時計に関しては、一九六五(昭和四〇)年にドイツ人の研究者ユルゲン・アショフが研究報告をした。

 

それによると、人間の場合、二五・〇時間であるという。

 

外界から完全に隔離された一定条件の下で、三~四週間生活させた人間の様々なデータを取った。合計二六人のデータを集めた結果、睡眠、起床、体温、尿量、尿中のカルシウムとカリウムの量は、どれもきちんとした日周のリズムを示したという。

 

人間の体内時計は、地球の自転時間 (二四時間)とは一時間も合わない。

 

体内時計が外界の二四時間周期に調整されているのは、光が影響している。日光を浴びると時差ぼけが早く治るというのも同じ理由である。

 

生物が体内時計を持つのは、本来、環境に適応し、生存に有利にするためである。 それほど重要な体内時計の精度が、人間の場合、一日に一時間も合わない理由は、まだ明らかになっていない。