雨や雪、時には雹が空から降るのは当たり前だが、それ以外のものが降ってくることもあるのだ。
このような現象は古代から記録されており、二世紀のギリシアの文人アテナイオスは「宴席の智者」という著書で、自分も多くの土地で魚が降ったことを知っていると述べている。
彼はケルソネソス半島(現在のガリポリ半島)で三日間にわたって魚が降り続いたことや、オタマジャクシの雨もよく見られたことを書いている。
近代になっても、「魚の雨」は頻繁に起こっている。
例えば、1918年にはイギリスでミイラ化したウナギが10分間ほど降った。
1948年には同じくイギリスのボーンマスのゴルフ場にニシンが降った。
1956年にはアメリカのアラバマ州チラチーで、晴れた空から突然現れた小さな暗雲から、生きたままのナマズやバスなどの淡水魚が降ってきた。
1989年にはオーストラリアのクイーンズランド州ローズウッドで、1000匹以上のイワシが降った。
1997年2月には牧場に体長5センチほどの小魚が降ったが、元気よく跳ね回っていた。
「カエルの雨」も多く報告されている。
1901年7月にはアメリカのミネソタ州ミネアポリスが嵐に襲われた際、様々な種類のカエルで町の4ブロック以上が覆われ、積み重なったカエルは高さ8センチにもなったという。
他にも、生肉や大きな石、氷塊や小さなワニ、トウモロコシやバター、金属片など、ありとあらゆるものが空から降ってきたという記録がある。
日本でも同様の現象が起こっており、2009年には石川県で大量のオタマジャクシや小魚が空から降ってきて話題になった。
このような現象を引き起こす原因として最も有力視されているのは竜巻である。
竜巻によって水面から吸い上げられたものが上昇気流に乗って雲の中に入り込み、何キロメートルも運ばれて風が弱まったところで雨と一緒に落ちてくるという仮説である。
しかし、この仮説では一種類だけのものが降ってくることや、竜巻が発生しなかった場所でも起こることなどを説明できない。
まだまだ謎は多いようだ。