, via Wikimedia Commons" href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File:The_summit_of_Mt_Tempozan.j
寒さに耐えられなくて、寒いのは嫌だという人が、「北極か南極、どちらかに行かなければならない」と言われたら、これは極限の選択である。きっと途方に暮れてしまうだろう。
でも、少しでも温かいほうがいいと思うなら、迷わず北極を選ぶべきである。
北極は南極と比べて絶対的に温かいからだ。 北極と南極は、赤道から同じくらい離れており、太陽からの距離も同じで、太陽の熱をほとんど受けないという点では同じである。だから、単純に考えれば、気温も同じだと思われるかもしれない。
しかし実際に両者を比べると、その気温は驚くほどに異なる。
北極の冬の平均気温はマイナス四〇度であるが、南極はマイナス六〇度である。北極の夏はプラスになることもあるが、南極では最も寒いロシアのボストーク基地でも、一番暖かい一月でもマイナス三〇度以下という寒さである。
この違いは、南極が陸地であるのに対して、北極が海であることによる。陸地は海よりもずっと冷えやすく、しかも南極はほとんどが数千メートルもの厚さの氷で覆われているため、その上空に冷たい高気圧の空気が集まってくるから、さらに冷え込む。
一方、北極は海水が寒さを緩和してくれるうえ、南から暖流が流れてきて温めてくれるので、それほど寒くならない。 海水はマイナス一・九度で凍りつくので、海水の温度はそれより低くならないのだ。